ステージに立てなかった皆様へ、タリプロ生に選ばれなかった皆様へ

photo by 原田透

華々しい人や温かい瞬間がフィーチャーされがちなタリキチプロジェクトですが、実は半分以上は悔しかったりしんどかったり辛い瞬間だったりするので、今回はその瞬間にまさに立ち会った方々へ愛を込めて応援のメッセージを送ります。

なぜ選ばれなかったのか

なんで自分は選ばれなかったのだろう、自分だって頑張ってるのに、そう思った人も多いかと思います。
ここで大前提を共有させていただきたいのですが、私は全ての人間は頑張っており、環境やそこから生まれるきっかけによってアウトプットが異なるだけだと考えています。

だから皆さんが頑張っているのを知ってるし、今日まで様々な取り組みや葛藤を経てここまで生きてきたことに対して平等に深く敬意を表します。

一方で、「頑張っている」というのはスタートラインでしかないということも同時に言えます。
特にタリキチプロジェクトという同じ環境下におかれ、提供されるリソースが全く同じ中で、ステージに立った人、立ってない人の違いはなんだったのでしょうか?

私はシンプルで「どう環境を活用したか」でしかないと思っています。

ステージに立った人々は年齢、性別、学歴、育ち、全てがバラバラでした。
ただ共通点があるとすれば「その環境を活用すべくもがき続けていた」というところだと思います。
私たちはプロジェクト開始時から一貫して「やりたいならやれ、応援するから。やりたくないならやらなくていい」というメッセージを発しています。なぜなら起業において能動性・自発性・継続性より大切なことなどないと考えているからです。
その中で出来るサポートをしてきた訳ですが、メンターにしろ進捗報告会にしろ、用意された機会をずっと活用しようとしていた人が力を蓄え、結果的にステージに立つのに十分なアウトプットと、そうでないアウトプットの差が生まれたのだと思います。
「水辺に馬を連れてきても水を飲ませることは出来ない(その水を飲むかどうかは馬次第)」という例え話があるように、その環境を整えることが出来てもそれを活用するかどうかの強要は私たちには出来ませんしする意味もありません。


他人の評価軸からの脱却


だからと言って今ある環境を活用しなかった人を責めるつもりも否定するつもりもありません。なぜならその環境は前述したように”与えられたもの”だからです。

ここで選ばれるとはどういうことのか、という話に移ろうと思います。

選考に通ったり、審査を勝ち進むには「評価軸」をもとに行っています。
それは過去のやりきり経験だったり、ビジネス性だったり、ファンをつけやすいかだったり、どれだけコミットしていたかだったり様々ですが、全て未完成な人間たちが与えた不完全な基準です。
それだけでなく、この世の全ての評価は曖昧だし、不完全です。
その上で利便性と効率性のためだけに作られた基準をもとに、評価をしやすいように与えられたものが「評価軸」であり、未完成な人間たちによってそれが行使されたものが「評価」なのです。

それに選ばれなかったということは、その与えられた不完全な評価に必要な要素をたまたま持ち合わせていなかったというだけ。

それでも悔しかった、悲しかったと思うかもしれません。
そんなあなたに一つアドバイスがあります。

人から与えられた評価軸から抜け出すことです。

誰かに評価されずに悔しい思いをしているうちは、あなたの人生の輝きが他の未完成な誰かに委ねられている状態です。
誰かに評価されなかったとしても、あなたが持っているもの、あなたが過ごしてきた人生は昨日と変わらず美しく尊いもの。あなたがこれから過ごす日々は、あなた自身にしか紡げない、かけがえのないものです。
決してジャッジした未完成な人間である我々が定義できるものでも想定できるものでもありません。

与えられた環境を活用することが苦手なら、自分で環境を作りましょう。

選ばれなくて悔しいなら、自分が評価軸を作る立場になりましょう。
地道に頑張るのが嫌いなら、たまに頑張って楽しく生きられる自分を見つけに行きましょう。
自分の人生のハンドルくらい、自分で握りましょう。

大切なのは「何になるか」でも「誰に評価されるか」でもなく、「あなた自身がどうありたいのか」だと思います。もっというと、「ハッピーであるためにはどんな自分であるべきなのか」です。

タリプロ生の愛読書である『起業の科学』を書いた田所さんが「シリコンバレーでは、失敗した起業家を“failed entrepreneur” とは呼ばず、“experienced entrepreneur “と呼ぶ」と仰っていました。
タリプロ応募時には「起業して成功する自分でありたい」と考えていた皆さんが今こうしてある種の”挫折”や”失敗”を味わったことも、様々なフェーズを経て「自分はこっちの方がハッピーだ」と気付くことも、「やっぱり目指してる自分の方がハッピーだ」と改めて認識することも全て、明日のあなたがより幸せを感じ生きる糧になるのだと思うと、とても素敵で意味のある経験だと思います。

タリプロ卒業生の透ちゃんは、ステージには立たなかったけど卒業式でカメラ熱が再燃し、今はLovegrapherとして活躍しながらtalikiの軌跡をいつも美しい写真にして残してくれています。
藤尾くんや中井くんもステージに立たなかったけど、「自分は人に向き合って応援することの方が好きだ」と気づき、プロジェクトの運営チームにまわっています。
宇野くんやシンはタリプロの最中に自分にとってより良い環境を見つけ、辞退して自分のサービス開発を進めています。
七海は人に求められず苦しんだのちに全く別の方向性の自分の団体を立ち上げ、結果代表として多くの人に求められ大活躍しています。
他の卒業生も、みんなそれぞれの人生を描き続け、更新し続け、それぞれのハッピーを追求しています。

そんな彼らの報告は「こんなこと頑張ってます」や「まったり楽しく生きてます」というものから、「もう死にたいやってらんない」ということまで様々です(そして実は後者が8割くらい笑)。
ただ、どれも彼らが自分の手で選び、自分のあり方を模索し、自分の人生のハンドルを自分で握っていて、「ああ、この子は自分で自分を幸せにできるから、きっと大丈夫」と思えます。

ステージに立てなかった皆さんも、ステージに立った人たちも、きっとこれからも様々な失敗や挫折があると思います。
そんなハンドルから自分の手が滑り落ちそうになった時、絶望の狭間にこぼれ落ちそうになってしまった時、それが終わりではなく始まりであれるように、talikiという場所があり、タリキチプロジェクト生やメンターのような仲間がいるのだということをどうか忘れないでください。

あなたがどこで何をしていても、最後には笑顔であれるようずっと祈っています。